※今回の記事はメルマガに掲載したものを改定、追記したものです。
最後に「イタリアでのアフリカ豚熱の発生状況」を追記しておりますので、メルマガを購読済みの方は是非下をご覧ください
最近、ニュースでよく「生ハムが食べられなくなる!」と言う話を耳にします。
某ファミレスで生ハムとミラノサラミがなくなる、と言うお話は皆さんの印象に強く残っているかと思われます。
ですが実際当社のラインナップを見てみると生ハムは存在します。
今、生ハムに何が起こっているのか。
まずしばらく食べられなくるのは生ハムではなく、正確に言うと「イタリア産の豚肉、イタリア産豚肉を原料とした加工品」です。
サラミやパンチェッタなども含みます。
これは現在、「アフリカ豚熱」がイタリアで流行し始めているからです。
「豚熱」と言うと日本でも以前猛威を振るったことを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
アフリカ豚熱は名前こそ似ているものの全く別の病気。しかし感染力が高く豚の致死率が高い、そして野生のイノシシが感染地域を広げてしまう、と言うことは共通しています。
有効なワクチンや治療法はなく、一度感染してしまえば拡散を防ぐためには発生した場所にいる豚を全て処分するしかありません。
そんな甚大な被害をもたらすアフリカ豚熱が世界中で流行する中、日本は数少ない感染例のない地域。
その為、感染した豚肉食品を経由し国内にアフリカ豚熱が拡がるのを防ぐため、輸入が停止されることとなったのです。
ちなみに去年の12月10日以前に加工された食品については「熟成期間も踏まえ、感染する前の食肉を原料とする商品」として輸入が許可されています。
元々サラミや生ハムは保存食なので、賞味期限が長い上、冷凍保存すれば更に保存期間が延びるため、そういったプロシュートやサラミは今でも市場に出ています。
当社が現在販売しているプロシュートやサラミの切り落としも、12月10日以前に製造された商品を加工した商品ですので、ご安心下さい。
さて、「今はまだ大丈夫でも、今後イタリア産のものが食べられなくなったら他に生ハムってどんなのがあるの?」と思う方もいらっしゃると思います。
……まぁ正直に言いますと「日本に積極的に輸出されてないだけで意外とあちこちで生産されているから全部上げるとキリがないよ!」です。
代表的なものは当社で扱っているスペインの「ハモン・セラーノ」はもちろん、フランスの「ジャンボン・セック」などが有名です。
他にもポルトガルやオーストリア、ドイツ、スイスでも作っていたります。
と、いってもそれぞれの国で香辛料や製造方法が少しずつ違う為、味も風味もまた違うのが面白いところ。
今後機会があればメルマガや当店コラムなどで詳細にご紹介できればと思います。
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ここからコラム限定の追記です。
メルマガでは書きにくかった、あまり日本では報道されない、でも気になるイタリアでのアフリカ豚熱の状況を簡単にご説明いたします。
まずこちらの地図を御覧ください。2022/06/22現在のイタリアにおけるアフリカ豚熱の発生状況です。
まず、最初にイタリアでアフリカ豚熱が確認されたのは今年の1月。
イタリア北東部、ピエモンテ州とリグーリア州に連なる山の中で感染したイノシシの死体が発見されました。
これにヨーロッパ中が衝撃を受けます、当時ヨーロッパで発生していたアフリカ豚熱はギリギリポーランド・ドイツ東部で抑えられていました。
ですが飛び地になる形で突然イタリアで発生したのです。
(これに関しては、リグーリア州にあるジェノバ港にて感染地域から来た貨物を不適切に廃棄したせいではないか…と言う仮説があるそうです。)
そして発生源となったピエモンテ州とリグーリア州では直ぐに山に入ることが禁じられ、感染を防ぐための処置が始まりました。
野生のイノシシの駆除、地域内の家畜豚のと殺、、フェンスを作りイノシシの移動を制限…など。
が、今年5月、約400km離れたローマ北部でアフリカ豚熱に感染したイノシシが発見されたのです。
ローマでは都市内に侵入するイノシシの数が増えており、人の廃棄物を経由しての感染リスクも高まっています。
生息地に近い地域では山への立ち入りはもちろん、イノシシが活発に活動をする夜間の移動も制限されている、とのことです。
ローマ周辺でも野生のイノシシの駆除も行われていますがおいつかず、ついに養豚場でアフリカ豚熱が発生してしまった…と言うのが現在の状況です。
このようにイタリアのアフリカ豚熱は現在も予断を許さない状況となっております。
終息までにおそらく数年かかり、さらに生ハムが1年以上熟成が必要な商品だと考えるとイタリア産生ハムが食べられるようになるのはまだまだ先…。
また何か新しいニュースが出ましたら、こちらのコラムでご紹介いたしますので気になる方は是非こまめにチェックをお願いいたします。
参考サイト:
「農林水産省:アフリカ豚熱について」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/asf.html
「PIG PROGRESS」(英語サイト)
https://www.pigprogress.net/
「World voice イタリア事情な斜め読み」(日本語サイト)
https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/vismoglie/2022/06/post-40.php
「L'informatoreagrario」(イタリア語サイト)
https://www.informatoreagrario.it/filiere-produttive/zootecnia/peste-suina-in-un-allevamento-laziale/
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